ヘビは左肺がかなり退化していますが、右肺はしっかりと機能しているため、人間と同じように肺呼吸をしています。そのため、エラ呼吸のようにずっと水の中で過ごすことはできません。
しかし、人間よりも長く水に潜ることができるため、水入れに顔をつけたままなかなか出てこなくても、それほど心配する必要はありません。この記事では、蛇の水中での呼吸時間や浸かりっぱなしになる理由、そして気をつけたいポイントについてお伝えします。
ヘビの健康を守るための基本的な飼育環境の作り方や、日常的なケアのコツについてさらに詳しく知りたい方は、ぜひこちらの関連記事もあわせてご覧ください。
ヘビは水中で呼吸できる?息が続く潜水時間
日本に生息するアオダイショウやシマヘビなどは、一度水に潜ると7~8分ほどは息を止めていられると言われています。
一方で、コーンスネークやボールパイソンの場合は少し短く、およそ2~3分程度です。水に潜って2~3分経つと、鼻の先だけを少し水面に出して1分ほど呼吸をし、また潜るという行動を繰り返します。
しばらく顔を水につけたまま出てこない状況を見ても、これは通常の行動範囲内なので過度に心配する必要はありません。
ヘビが水入れにずっと浸かる2つの主な理由
ヘビが水入れに長く浸かっているのには、きちんとした理由があります。主にケージ内の湿度環境が関係していることが多く、蛇なりの対策をしている状態です。
脱皮に向けた準備で湿度を高めている
ヘビは脱皮の時期が近づくと、体をふやかして古い皮を綺麗に脱ぐために、自ら高い湿度を求めるようになります。その結果、水入れの中に何日も浸かったままになる個体も少なくありません。
脱皮前特有の行動であるため、基本的には自然な姿として見守って問題ありません。皮膚が白っぽく濁ってきたら、脱皮のサインと捉えてそっと様子を見守りましょう。
ケージ内の湿度が低く乾燥を感じている
もう一つの理由は、シンプルにケージ内の湿度が不足していて、乾燥から身を守るために水に浸かっているというケースです。特に冬場やエアコンが効いている部屋では乾燥が進みやすいため、ヘビは自分で水分を補おうとします。
この場合は、ケージ内に霧吹きをして全体の湿度を上げてあげることで、自然と水入れから出てくることが多くなります。
水入れに浸かりっぱなしでも放置して平気?
基本的には、水に浸かりっぱなしでもそのまま放置して大丈夫です。ヘビがずっと水入れに入っていると「体調が悪いのかな」「うろこがふやけてしまわないかな」と不安になるかもしれませんが、過度な心配はいりません。
ただし、衛生面には注意が必要です。水の中で小さな尿酸や糞をしてしまうこともあるため、何日も同じ水に浸からせるのはあまり清潔とは言えません。
以前、2日近く入りっぱなしだった水入れを交換しようとしたら、謎の物体(おそらく古い糞や尿酸)が浮いていたこともありました。そのため、1~2日に1度は水を交換し、ヘビを水入れから出してあげるのが衛生的です。
また、水の温度にも気を配る必要があります。水温が冷たすぎると体が冷えて代謝が悪くなり、吐き戻しの原因になることもあります。冷えが気になるときは、水入れごとパネルヒーターの上に移動させるのも一つの方法です。
ちなみに、コーンスネークのシンは温かい場所が苦手なので、ヒーターの上に水入れを置くとすぐに出てきます。
蛇が水入れで溺死するケースと対策方法
ヘビも呼吸が必要なので、苦しくなれば自分から水面に出てきます。しかし、飼育下では稀に水入れの中で溺死してしまうケースが報告されています。
コーンスネークではあまり聞きませんが、シシバナヘビなどの少しおっちょこちょいな種類では注意が必要です。
溺死の主な原因は、水入れのフチが内側に反り返っていて外に出られないことや、タッパーなどの容器で作った水入れの穴を見失ってしまうことなどが挙げられます。
自分で入ったはずの穴でも、パニックになると分からなくなってしまうことがあるようです。
そのため、特にベビーの頃は浅めの水入れを用意するか、確実に出入りできる形状の容器を選ぶ工夫が大切です。
蛇に与える水は水道水とミネラルのどちら?
蛇に与える水は、基本的に水道水で全く問題ありません。
もちろんカルキ抜きをした水のほうが綺麗ではありますが、水道水のカルキが原因で蛇が体調を崩すということはないため、そのまま与えても大丈夫です。
浄水やミネラルウォーターに変えた途端に勢いよく飲むようになった、というような変化があればそちらを選ぶのも良いですが、基本は水道水で十分です。
ただし、カルキを抜いた水やミネラルウォーターは時間とともに傷みやすく、水質が悪化しやすいというデメリットがあります。もしカルキ抜きをした水を使う場合は、最低でも1日1回は必ず新しい水に交換して清潔を保つことが大切です。
水入れ大好きな蛇の可愛い水遊びエピソード
水に浸かる理由はいろいろありますが、純粋に水遊びを楽しんでいるようなおちゃめな子たちもいます。我が家で飼育している2匹のちょっと変わった水遊びの様子をご紹介します。
コーンスネーク「シン」の呼吸我慢選手権
コーンスネークのシンがたまに開催する「一人呼吸我慢選手権」です。頭を水にすっぽりとつけて、息が続く限界まで潜り続けるという謎の遊びをしています。
最高記録はなんと3分以上。限界が来ると「バッフォ~!!」と大きな音を立てて、勢いよく水面から顔を出します。
最初は驚きましたが、最近はまた始まったと微笑ましく見守っています。ただ水を飲んでいるだけかもしれませんが、顔全体を突っ込む姿はかなり豪快で驚かされます。
シシバナヘビ「ジン」の元気なダイブ遊び
セイブシシバナヘビのジンは、まだ子どもということもあってとにかく遊ぶのが大好きです。一日のうちに何度も水入れに勢いよくダイブしては、元の場所に戻り、またダイブを繰り返しています。
床材にクルミチップを使用しているため、ダイブのたびに水入れがクルミまみれになり、掃除が大変なのが少し悩みの種です。見ている分にはとても可愛いのですが、そろそろペットシーツへの変更を真剣に検討しているところです。
逆に水に全く寄り付かない・浸らない蛇もいる
水に浸かりっぱなしの蛇がいる一方で、逆に全く水に寄り付かない個体もたくさんいます。水を飲んでいる姿すら、めったに見られないことがあるほどです。
これについては全く心配はいりません。実は、水に浸かりっぱなしの蛇のほうが少数派だからです。爬虫類ショップやカフェなどに行っても、水入れにずっと入っている蛇は少ないことにお気づきいただけると思います。
基本的には、脱皮前だけ湿度が適切かどうかをチェックしてあげれば十分です。
ちなみに、我が家にいる6匹の様子をまとめると以下のようになります。
ラン(コーン)→ 偶然触れることはあるが、自分から入ることはない
シン(コーン)→ 月に1回くらいの割合で、1~2日かけて浸かっている
アイ(コーン)→ 脱皮前に体の一部(主に下半身)を水に入れることが多い
シュウ(ボール)→ 何があっても水入れには絶対に入らない
レイ(アオダイショウ)→ 脱皮前に1日ほど水入れに入ることがある
ジン(シシバナ)→ 毎日水入れにダイブするが、すぐに出てくる
このように個体差は大きく分かれますが、全員とも3日以上入りっぱなしになったことは今まで一度もありません。
蛇の水入れや飼育に関するよくある質問
蛇が水に浸かる行動について、よくある疑問をQ&A形式でまとめました。初めて飼育する方が気になりやすいポイントを解説しているので、ぜひ参考にしてみてください。
- 蛇が水に浸かりっぱなしですが、無理に出したほうがいいですか?
-
無理に引っ張り出す必要はありませんが、2〜3日以上入ったままだと水が汚れたり体が冷えたりする原因になります。新しい水に交換するタイミングで優しくケージ内に出してあげるか、部屋の湿度を全体的に上げることで自然に出てくるよう促すことをおすすめします。
- 蛇の水入れはどのくらいの大きさが適していますか?
-
蛇が全身をすっぽりと入れられる大きさが理想的です。ただし、大きすぎたり深すぎたりすると溺れてしまう危険があるため、とぐろを巻いた状態でぴったり収まる程度のサイズで、浅めの容器を選ぶようにします。成長に合わせて水入れのサイズも変えていくことが大切です。
水に浸かりっぱなしの蛇に関するまとめ
蛇が水入れに浸かりっぱなしになる行動は、脱皮前の準備やケージ内の乾燥が主な理由であり、過度に心配する必要はありません。日本の蛇であれば7~8分、コーンスネークなどの外国産でも2~3分は水中で息を止めることができるため、しばらく顔をつけていても大丈夫です。
ただし、長期間同じ水に浸かっていると衛生面が悪化したり、水温が低くて代謝が落ちたりするリスクがあるため、1~2日に1度は水を交換して清潔な環境を保つことが大切です。
また、幼蛇や不器用な種類は水入れの形状によっては出られなくなるケースもあるので、溺死を防ぐために浅いお皿を使うなどの工夫が求められます。
水入れに全く入らない個体も多く、行動にはそれぞれの個性が表れます。日々の観察を通じて、その子に合った快適な飼育環境を整えてあげましょう。
